23 小学校教科担任制の先にあるもの
カテゴリ: 教育コラム
小学校教科担任制のメリット
~ 「チーム教育」の構築 ~
◎本校でも、5,6年生では教科担任制による教育活動を展開しています。
小学校段階の教科担任制の利点としては、中学校の教科担任制への
スムーズな移行、専門性を生かした教材研究による授業の質の向上、
学級担任だけでなく、学年の教員全員で子どもたちを指導する体制の
構築等々があげられています。
◎私は、小学校の教員です。ほとんど全ての教科を指導していました。
そして、学級担任が教科指導だけでなく生活指導においても丸ごと
指導できる小学校教育に魅力を感じていました。
ですから、私のように学級経営(子どもたちの人間関係の構築やルールの指導等)
に力を入れている教員には、教科毎に指導学級が変化する教科担任制には、
ある意味、もどかしい思いをしているかも知れません。
◎さて、小学校教科担任制のメリットのひとつとして、最近感じていることがあります。
それは、子どもたちにとって、相談する先生の選択肢が広がることです。
中学校や高等学校では、担任だけでなく、生徒が信頼し、相談しやすい先生に悩み事
を相談することは多々あります。
◎今まで小学校では子どもが悩みを相談する相手は担任しか選択肢がありませんでした。
それが、教科担任制により、授業を通して信頼関係が深まった担任以外の先生に相談し
やすくなったのです。
◎現在は、私立学校の校長で、かつては東京都教育委員会で勤務され、
千代田区立麹町中学校の校長として、今までの学校教育にある固定観念に
とらわれず、大胆な教育改革を実行した工藤勇一(くどう ゆういち)氏の
実践が印象的です。
◎工藤校長は、公立中学校で「固定担任制」を廃止し、学年の全教員で学年の全生徒を見る「全員担任制」を実行したのです。
◎この考えのヒントになったのは「チーム医療」の考え方だったそうです。
◎患者にとって、最も適切な医療を行うために、心のケアや専門性の高い処置
を行う病院の取り組み、すなわち「チーム医療」は、学校に置き換えると、
すべての子どもに最善の手立てを、学校全体で取るという姿になる、という
考え方です。
◎本校は「固定担任制」です。
しかし、工藤氏の「チーム医療」の考え方は、私の考えと合致するところです。
4月から、各学級では、色々な教育相談をお受けしてきました。
その一つひとつについて、学級担任が決して抱え込むことなく、学年主任を
中心に学年で共有し、最善策を見出し、保護者の皆さんとお話し合いを進めて
きました。
◎また、学年だけで解決できない問題については、生徒指導主任が中心となって、
必要に応じて、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーも含めて
学校全体で、解決策を探るようにしています。
◎そして、それら全ての教育相談内容は、校長、教頭、教務主任を交えて熟議する
ようにしています。
☆ 本太小学校全体では、「チーム医療」に通じる
「チーム教育」を展開しております。
本太小学校長 千葉 裕(ちば ひろし)
- 2023年06月09日 09:41